コア抜きとスリーブについて

急に注目された言葉「コア抜き」。

 

2014年3月にある一流デベロッパー・一流ゼネコンが高級分譲マンションの建設現場で問題を起こしたことがニュースになりました。

 

梁という、構造上大事な部分に、構造設計者の許可なくして「コア抜き」をしてしまったことによって、建物が構造的に安全とは言えなくなってしまったという問題です。

 

その際にニュースでよく流れていた言葉が、「コア抜き」「スリーブ」という単語です。

 

建築に関わった仕事をしていない限り、まず遭遇することのない単語なのですが、今回くしくも、悪いニュースによって有名になった単語です。

 

まず「スリーブ」について説明します。

コア抜きとスリーブについて

 

スリーブというのは、床を支える梁や、床そのものに、給排水の配管や、電気の配線を通過させるための穴をあけることを言います。

 

これ自体は、もちろん正しい手順をふんでいれば、別に悪いことではありません。
むしろ、スリーブの無い建物など存在しません。

 

電気や水などを建物の隅々にまで行きわたらせる為には、必ずどこかで床や梁を通過する必要があるからです。

 

通常、スリーブというのは、床や梁のコンクリートを打設する前にボイド管と言われる筒状の部材をコンクリートに一緒に打ち込むことによって穴を作ります。

 

その際、床や梁が構造的に弱くならないように、適宜、鉄筋などで補強をしながら穴を設けるわけです。

 

次に「コア抜き」について説明します。

コア抜きとスリーブについて

 

コア抜き、もしくはコアボーリングと呼ばれることもあります。
この用語も、やはり床や梁に穴をあけることを指す言葉ですが、若干意味合いが違います。

 

コア抜きというのは、すでにコンクリート打設が終わっている床や梁などに、後から穴をあけることを言います。

 

先端がダイヤモンドで出来た強力な穿孔機を用いて、コンクリートに穴を掘るわけです。

 

これはどういう時に必要になるかというと、例えば改修工事で、どうしても後から穴を追加しないと配管をすることができない場合などです。

 

あるいは、今回のような新築工事でも、コンクリートを打った後に、間取り等の変更要望があったりすると、配線や配管も変更しなければならず、床や梁に穴を追加する必要が出てきます。
そのような場合に「コア抜き」を行います。

 

2014年の件は何が問題だったのでしょうか?

 

「スリーブ」も「コア抜き」も、きちんと構造設計者が大丈夫と判断したうえで行うのであれば、問題ありません。
「コア抜き」の場合には、事前にX線写真か、超音波探査を用いて、床や梁などに埋まっている大事な鉄筋を損傷しないような位置に
穴をあけることが必要となります。

 

しかし、鉄筋の事をまったく考えず、構造設計者にも相談せずにコア抜きを行うと、本来、床や梁が持っているべきだった強度や耐久力が減ってしまう可能性があるのです。
この点が、問題なったという事です。

 

リフォームなどの改修をするなら頭に入れておきましょう。

 

ふだん、「コア抜き」という言葉に接する機会というのはほとんど無いと思います。

 

唯一、一般の方がこの言葉に接するとしたら、マンションや住宅などの内装リフォームをする際にコア抜きをしないと間取りが替えられない、という状況になった時くらいだと思います。

 

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当然のことながら、マンションの管理会社に相談なく梁などにコア抜きをすることは厳禁です!
勝手に穴をあければ、大問題です。

 

しかし、一戸建ての自宅が鉄筋コンクリートの方の場合、コア抜きをしても、誰かが騒いでくれる訳ではありません。
自分の家の構造強度が保てなくなるだけです。

 

もし業者が「コア抜きしましょう。」と言ってきたら、必ず構造設計者(もしくは買った時の不動産会社)に事前相談するようにしましょう!

 

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