外断熱と内断熱の違い

内断熱の場合の熱の伝わる順序

 

まず、内断熱の構成と、熱の伝わる順序を説明します。
ここから理解すれば、外断熱と内断熱の違いはすぐに
理解することができます。

 

<熱の伝わる順序>
外の空気
⇒外装タイル
⇒コンクリート壁
⇒断熱材
⇒内装材
⇒部屋の中の空気

 

となります。
部屋の中の空気は断熱材によって外の空気から守られて
いますので、室内をエアコンすればきちんと効きます。

 

ただし弱点がありまして、それはコンクリート壁が
断熱材に守られていない事です。

 

「蓄熱」という考え方

 

では、コンクリート壁が守られていないと何が問題なのでしょう。
それを説明するためにひとつだけ専門用語を使います。
「蓄熱」という用語です。

 

蓄熱とは、読んで字のごとく、物体が熱を蓄える性質のことです。
湯たんぽも一種の蓄熱です。
一度物体を暖めると、しばらくポカポカする、
逆に一度キンキンに冷やすと、しばらく冷んやりする、という性質です。

 

コンクリートが外の空気から守られていないことによって、
冬であれば、コンクリート壁が夜のうちに蓄熱(蓄冷)してしまい、
建物が冷え切ったコンクリートに囲まれた状態になります。
この蓄熱効果によって、室内の暖房効率に影響が出るのです。

 

この蓄熱効果を発生させないように工夫した方法が「外断熱」です。

 

外断熱の特徴

 

外断熱の場合における熱の伝わり方は、

 

<熱の伝わる順序>
外の空気
⇒外装タイル
⇒断熱材
⇒コンクリート壁
⇒内装材
⇒部屋の中の空気

 

となります。
つまりコンクリート壁が守られた状態になっているのです。

 

これによって、建物は外の空気温度による影響を受けにくくなります。
従ってエアコンの効率が上がる、という仕組みなのです。

 

以上が外断熱のメリットです。
ではデメリットについても説明します。

 

それは、値段が割高になるということです。
外断熱でも内断熱でも、使用している材料の種類や量はあまり
変わらないのですが、内断熱の場合、断熱材がコンクリート壁の内側、
すなわち屋内にあるので、取付が楽なのです。

 

一方で、外断熱の場合はコンクリート壁の外側に断熱材を取り付け
ないといけないため、取付に手間がかかります。
これによって建設費用や補修費用が高くついてしまうのが
外断熱のデメリットです。

 

外断熱にするべきか?

 

個人的には、東京近郊であればそれほど必要ないと思います。
もちろんあるに越したことはありませんが、初期の建設費だけでなく
将来的に老朽化した際の補修にも余分な費用がかかることを考えると、
そこまでメリットが大きくないと思います。

 

これが北陸や東北などの寒冷地であれば話は別です。
暖房費が家計の大きな部分を占めるような場合は、外断熱することにより
光熱費の節約になりますし、冬の快適さもだいぶ違います。

 

ですので、外断熱にするべきかどうかは、地域によると考えてよいでしょう。
もちろん、マンションを売却する際に、もし外断熱になっていると
したら、それは大きな長所としておおいにアピールして良いと思います。
最近は東京近郊でも厳冬の年が多いので、冬の快適さはひとつの
売りになると思います。

 

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